構造最適設計CAEソフトウェア OPTISHAPE-TS の
機能や使い方について紹介しているブログです.

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2015年11月11日

OPTISHAPE-TS の理論 第4回「ノンパラメトリック最適化の難しさ(その3)」

OPTISHAPE-TS の理論
第4回「ノンパラメトリック最適化の難しさ(その3:チェッカーボード現象)」

前回までで,ノンパラメトリック最適化では求めるべき設計変数の数が多い,つまり探索すべき空間の次元が大きいために,感度を使った最適化アルゴリズムが使われることを説明しました.この記事では,さらに別の視点からノンパラメトリック最適化の難しさについて解説します.

ノンパラメトリック最適化の一つである位相最適化は密度関数を対象に最適化を行う手法です.この手法は歴史的に「チェッカーボード」と呼ばれる現象に苦しめられてきました.この現象は,密度が1の部分と0の部分がチェッカーボード(チェス盤)のように交互に現れるというものです.このような構造は,エンジニアの感覚だと全く許し難いことでしょう.四角い板を角点だけで繋ぎ合わせたような構造は簡単に製造できないでしょうし,仮に製造出来たとしても簡単に壊れてしまいそうです.しかしながら,有限要素モデルとして計算してみると,この構造は意外と剛性が高いのです.ここがこのチェッカーボード現象の悩ましいところで,数値計算上はちゃんと最適化されているにも関わらずエンジニアの感覚には全く合わない構造になってしまうのです.

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チェッカーボード現象

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2015年06月10日

OPTISHAPE-TS の理論 第3回「ノンパラメトリック最適化の難しさ(その2)」

OPTISHAPE-TS の理論
第3回「ノンパラメトリック最適化の難しさ(その2:時間計算量)」

前回までに,ノンパラメトリック最適化とは数学的には関数を対象とした最適化で,実際には有限要素モデルの規模(節点数,要素数)と同程度の数の設計変数を求める問題になることを説明しました.この記事では,そのような問題を解くための最適化アルゴリズムについて解説します.

まず,時間計算量という概念を導入しましょう.時間計算量はO(・)という表記を使います.これを使って計算時間がデータの数に対してどのように増加するのかを表します.コンピュータープログラミングを勉強した方は分かると思いますが,データの並べ替えを行うアルゴリズムであるクイックソートアルゴリズムの時間計算量は平均的に O(N logN) であると言われます.一方,同じデータの並べ替えを行うアルゴリズムでもバブルソートアルゴリズムの時間計算量は O(N2) であると言われます.これは,クイックソートの計算時間はデータ数 N の増加に対して N logN 倍で増加するのに対して,バブルソートは N2 倍で増加する,ということを表しています.増加の度合いはクイックソートの方が穏やかです.もし,あるデータ数においてクイックソートとバブルソートが同程度の計算時間,あるいはバブルソートの方が速かったとしても,データ数が十分に大きくなるとクイックソートが必ず有利になる,ということが時間計算量から予測できます.

最適化問題を解いて最適解を求めるためのアルゴリズムが最適化アルゴリズムです.最適化アルゴリズムでは多数の試行を行いながら,設計変数を最適解に近づけていったり,最適解を得るための情報を収集したりします.構造最適化の場合,その試行を行う度に有限要素解析を実行する必要があり,通常はこの計算時間が全体の解析時間の大半を占めます.従って,なるべく少ない試行で最適解に辿り着く最適化アルゴリズムが重要です.ノンパラメトリック最適化の場合,試行回数が求めるべき設計変数の数 N(=探索すべき空間の次元の大きさ)に対してなるべく大きくならないアルゴリズムが求められます.さらに言えば N に依存しない時間計算量 O(1) のアルゴリズムが理想的です.

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2015年04月28日

OPTISHAPE-TS の理論 第2回「ノンパラメトリック最適化の難しさ(その1)」

OPTISHAPE-TS の理論
第2回「ノンパラメトリック最適化の難しさ(その1:関数の最適化)」

前回の記事では,ノンパラメトリック最適化について簡単に説明しました.その中で,ノンパラメトリック最適化は関数を最適化する方法だと述べました.この記事では,「関数を最適化する」とはどういうことか,イメージを深めて頂くために,それがどのような難しさを持っているのかという視点で解説します.

既に述べたように,パラメトリック最適化はそれぞれ独立したいくつかの設計変数を最適化します.通常は,設計変数の数は数個〜数十個以内でしょう.もしかしたら数百個,数千個かもしれませんが,無限個にはなりません.当たり前ですが.数学的に言えば,有限次元空間上の一点を求める問題を解いていることになります.一方,ノンパラメトリック最適化の「関数を最適化する」という事を,より数学的に表現すると,関数空間上の一つの関数を求める問題を解くこと,と言うことができます.「関数空間」という言葉が分かりにくいと思いますが,ひとまず「あり得る関数を全部集めたもの」という程度に理解しておくと良いでしょう.

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2015年03月24日

OPTISHAPE-TS の理論 第1回「ノンパラメトリック最適化入門」

技術開発部の竹内です.

前回の記事から随分と時間が経ってしまいましたが,「OPTISHAPE-TS の理論」と題して,連載を始めたいと思います.

弊社の OPTISHAPE-TS はリリースから約 11 年が経ちました.私はこのソフトウェアの最初のバージョンから開発に携わっています. 最初のバージョンのリリース当初から,お客様より「どのような理論に基づいて最適化しているのか?」といった類のご質問をよくお受けします.確かにユーザー様の立場からすれば,理論的な背景を良く理解せずにソフトウェアを使うのには抵抗があるでしょうし,理論が分かっている方が様々な局面でより的確な利用方法が思いつくことでしょう.

ところが,最適化に関する論文の多くは普通のエンジニアが読み進めるには数学の記述が難解で,理論の本質に辿り着くまでが大変です.また,私を含めて弊社の社員が OPTISHAPE-TS の技術的な説明をさせて頂く機会は多々あるのですが時間の制約もあってなかなか理論の詳細にまで踏み込むことができません.

そこで,この連載では OPTISHAPE-TS の最適化機能で使われている理論についてなるべく分かりやすく解説していきます.ブログの記事ですから,読者の皆様はご自分のペースで読み進めることができます.なるべく正確な記述を心掛けますが,普通のエンジニアが読み進められる程度の難易度の文章であることを最優先にします.数学に詳しい方が読むと物足りない面があるかもしれませんがご了承ください.その上で,何か看過できない記述ミスなどがありましたら,弊社のサポート宛てにご連絡ください.

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2013年05月28日

骨々しい台座はどのようにして設計されたか(位相最適化 その3)

前々回の記事
前回の記事

記事の投稿間隔が空いてしまいました.申し訳ありません.

長くなってしまったので記事を分割しました.この記事では,片持ち梁の位相最適化の続きについて触れていきます.

前回は,片持ち梁の公式から最大たわみ(最大変位)を最小化するために,断面二次モーメントが最大となるような断面形状を考えました.

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だけど,この断面で変位が小さくなるの?といったところで一旦話が終了していました.

結論から言うと,この断面形状は軟らかいです.
では何故なのかということを,これから検討していきます.

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posted by 株式会社くいんと at 20:20| くいんと交流会2012 | 更新情報をチェックする
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