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2013年04月24日

骨々しい台座はどのようにして設計されたか(位相最適化 その2)

前回の記事からの続きです.

前回の記事では,下の図のような条件で位相最適化をすると,どんな かたち になるでしょうかというクイズを出して終了しました.

130418_1

目的:なるべく硬く (剛性最大化,コンプライアンス最小化)
制約:紺色の部分の30%の材料を使って模様をだす (初期形状の体積の30%以下)
追加条件:金太郎あめのように,どこを切っても同じ形 (等断面)

早速ですが,正解はこちら(※いらない部分を削った後の形状です)

130423_topo_iso

前から見るとこんなかたち

130423_topo_iso2

建物の建設現場などでよく見る形状が出てきました.この形状の鋼材のことを「H形鋼I形鋼」と呼びます.おそらく皆さん見たことがあるかと思いますが,見たことがない人は高い建物の外にある非常階段や,アパートやベランダの柱などを観察して見てください.おそらく,こんな形状の柱が使われています.

面白い形状を期待した方,またまたごめんなさい.位相最適化は,自動的に面白い形状を出してくれるツールという訳でなく,力学的に意味のある模様を出してくれるツールであるということを示したくて,このクイズを出してみました.

続きでは,「この形状は,本当に剛性が高い形状なのか」ということを,材料力学・構造力学をベースに考えていきます.

●硬い片持ち梁の断面形状

今回の位相最適化の例題を,材料力学・構造力学の観点から考えます.まず,今回の例題と同様に,下図のような長さLの片持ち梁の先端に,荷重Pを加えます.

130423_5

このとき,端点BにおけるたわみδB(最大たわみ)は,

130423_2

という数式で表されます.
このとき,P:荷重,l:梁の長さ,E:ヤング率,I:断面二次モーメントとなっています.

今回の最適化はなるべく硬くしろという目的でした.これは,同じ荷重を与えた時に,変位量をなるべく小さくしろという言葉に置き換えることができます.(≒最大たわみδBの最小化).数式の右辺の中で,変えていいのは断面二次モーメントだけで,この値が大きいほど最大たわみが小さくなることが式からわかります.

以上のことから,目的は
剛性最大化≒最大たわみ(変位)δBの最小化≒断面二次モーメントIの最大化
という風に言い換えることができます.

また,制約も
断面の形状は,矩形範囲全体の30%の材料で,矩形の範囲を逸脱しない.
という風に言えることができます.

ここで断面二次モーメントの定義に注目してみましょう.

130423_i

上図のような形状のZ軸に関する断面二次モーメントIzは,以下のような式で表されます.

130423_3

このとき,dAは微小断面の断面積,yはZ軸から微小断面までのY軸方向距離です.

今回の条件を今一度考えてみましょう.
目的:断面二次モーメントIzの最大化
制約:矩形範囲の30%の材料で,矩形の範囲を逸脱しない.

矩形範囲の30%という制約がなければ,矩形範囲全部に材料を配置した断面形状が最も断面二次モーメントが大きくなります.ですが,30%という制約があるので,どこを削って,どこを残せばいいか考えなくてはいけません.

断面二次モーメントの式を見ると,yの値はIzに対して二乗で効くため,yの値が大きい,つまりZ軸から離れた場所のdAを大きくすると,断面二次モーメントの値が大きくなることがわかります.逆に,yの値が小さい場所のdAを大きくしても,断面二次モーメントは大きくならないこともわかります.

断面二次モーメントだけを考えると,断面形状はこのようになります.オレンジ色の部分が材料を配置した部分です.

130423_8

そして,お粗末ながら荷重点と上下の部材を繋げると,下図のようになります.

130423_9

上下に材料が配置されているという形状は近いものの,位相最適化では中央の縦部材がもっとしっかりとしていました.この断面の片持ち梁は本当に硬いのでしょうか?

といったところで,長くなってしまったので,一旦ここで区切らせて下さい.

●位相最適化クイズ 台座の位相最適化
前回と同じように,最後にクイズを出してみたいと思います.
今回は台座の位相最適化

130424_daiza_topo

※中身はみっちり詰まっています.空き箱ではなく豆腐です.

目的:なるべく硬く (剛性最大化,コンプライアンス最小化)
制約:紺色の部分の30%の材料を使って模様をだす (初期形状の体積の30%以下)

中身が詰まった台座,豆腐とでも思ってください.その上に足が4か所あるものをそーっと載せます.すべての足にかかる力(荷重)は均一です.さて,前回と同じような条件で位相最適化をやると,どんな形状や模様が出るでしょうかという問題です.

「えっ,でもこの条件じゃ・・・」とパッと形状が頭に浮かんだ人,恐らく正解です.

次回記事
次回はこの話の続きをしつつ,本題であった3Dプリンターの台座の位相最適化に触れていきたいと思います.

posted by 株式会社くいんと at 21:51| くいんと交流会2012 | 更新情報をチェックする
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