構造最適設計CAEソフトウェア OPTISHAPE-TS の
機能や使い方について紹介しているブログです.

OPTISHAPE-TSの製品に関する情報はこちら

2013年05月28日

骨々しい台座はどのようにして設計されたか(位相最適化 その3)

前々回の記事
前回の記事

記事の投稿間隔が空いてしまいました.申し訳ありません.

長くなってしまったので記事を分割しました.この記事では,片持ち梁の位相最適化の続きについて触れていきます.

前回は,片持ち梁の公式から最大たわみ(最大変位)を最小化するために,断面二次モーメントが最大となるような断面形状を考えました.

130425_katamochi2

130425_katamochi1

だけど,この断面で変位が小さくなるの?といったところで一旦話が終了していました.

結論から言うと,この断面形状は軟らかいです.
では何故なのかということを,これから検討していきます.

●有限要素解析による比較

有限要素法の静弾性解析で4パターンの断面の片持ち梁の最大変位を比較します.もちろん使用するソルバー(ソフトウェア)は OPTISHAPE-TS です.

誤解されている方も居るかと思いますので念のため説明しておくと, OPTISHAPE-TSは有限要素法ソルバーを内蔵しています.最適化をするときに OPTISHAPE-TS とは別にソルバーを用意する必要はありません.そして,ソルバー,最適化処理,その他もろもろすべて社内で開発していますので,やっかいな質問も電話一本で開発者が日本語で回答させて頂きます.

露骨な宣伝を挟んだところで,本題の解析結果を見ていきたいと思います.改善の余地のある比較ですが,説明用ということでご容赦ください. 数値は現実を模したものではないので,相対的な数値に着目して頂ければと思います.変形形状を濃い水色,初期形状を半透明表示で表示しています.

パターン1:最も硬い形状
130502_model_1

最大変位(最も硬い形状との比):0.475 (1.00)
矩形断面を完全に密な状態にして,最も硬い状態の最大変位を求めました.この形状を基準に,最大変位がどれだけ大きくなっていくか,すなわちどれだけ柔らくなったか検討していきます.

パターン2:上下に厚板 130502_model_4

最大変位(最も硬い形状との比):44.3 (93.4)
断面二次モーメントから考えた最も硬いであろう形状の解析結果です.横から見ると上下2枚の厚板となります. 中央には荷重をかけられないので,板の中央に半分ずつ荷重をかけました.明らかにパターン1と比べて軟らかくなってしまったことがわかります.理由は後ほど考察します.

パターン3:上下に厚板+中央に薄板 (薄板H型) 
130502_model_3

最大変位(最も硬い形状との比):6.25(13.2)
パターン2の上下2枚の板の間に薄い板を入れました.形状の差は薄板1枚ですが,最大変位は約1/8にまで減っています.

パターン4:上下に厚板+中央に厚板 (厚板H型) 130502_model_2

最大変位(最も硬い形状との比):0.777(1.64)
パターン3で,中央に薄い板を入れたことで最大変位が小さくなったので,中央の板を厚くしてみました.パターン2やパターン3と比べて,明らかに硬くなったことがわかります.

●結果のまとめ
結果を表にまとめます.

 

最大変位

最も硬い形状との比

パターン1
最も硬い形状

0.475

1.00

パターン2
上下に厚板

44.3

93.4

パターン3 (薄板H型)
上下に厚板+中央に薄板

6.25

13.2

パターン4 (厚板H型)
上下に厚板+中央に厚板

0.777

1.64

結果比較より,以下のことが分かりました.

  • 上下2枚の厚板だけでは,非常に軟らかくなってしまう.
  • 上下の厚板を繋ぐように板を入れることで,硬い形状となる.

●考察
有限要素解析の結果を踏まえて,中央の板の必要性についてパターン3(薄板H型)とパターン4(厚板H型)の2つのモデルの比較で考察していきます.

まず,2パターンの変形図を真横から比較しました.なお,下図では,見た目を合わせるために変形図のスケールを調整し,説明のためにモデルを色分けしました.メッシュの都合上,形状が歪な個所もありますが,予めご了承ください.

130502_H_2

薄板H型

130502_H_1

厚板H型

薄板H型は,中央の板で大きいせん断変形が生じていることがわかります.一方の厚板H型は,上面が引張,下面が圧縮という曲げ変形となっていることがわかります.中央の板を厚くすることで,せん断変形に抵抗し,硬い形状となったということが言えます.

別の視点からも見ていきます.下図は,ある箇所(平面)での変形を赤い点線で示した図です.

130515_model

ここで右の薄板H型に注目して下さい.線が横から見ると直線ではない.すなわち,3次元で平面を維持していないことがわかります.

130507_1

ここで前回の最初の公式に戻ります.この公式は梁理論を基にした公式です.公式の誘導は材料力学の教科書に譲るとして,この理論が成り立つためには,梁が変形前後で平面を維持しなければならない「平面保持の仮定」という仮定を満たしている必要があります.ですが,上に示す図のように薄板H型の場合この仮定を満たしていません.なので,いくら断面二次モーメントが大きくても,公式を満たしていないため,薄板H型は軟らかい形状となってしまっていました.

●位相最適化の結果の妥当性検証
今までの考察を踏まえ,改めて位相最適化の断面形状を見てみましょう.

130526_topo_iso2

上下に材料が配置され,それを繋ぐように中央に厚い板が入っています.厚板H型に酷似した形状と言えるかと思います.

●まとめ
材料力学・構造力学の観点から硬い片持ち梁の断面形状を検討し,位相最適化の結果が妥当な模様であることを確認しました.ここから,さらに単純なH型と位相最適化の断面形状の差などについても話を展開してみたいところではありますが,片持ち梁に長々と時間を使うのは読む側も書く側も大変なので,この程度にしたいと思います.

本来ならば位相最適化の結果は,適当な模様ではなく力学的に妥当な結果であるということを簡単に説明して話を進める予定でしたが,書いていくうちに予想以上に長くなってしまいました.

今回は簡単な問題を例に説明しましたが,位相最適化の結果形状が構造力学・材料力学の観点から見ても妥当であるということは,なんとなく理解して頂けたかと思います.

posted by 株式会社くいんと at 20:20| くいんと交流会2012 | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。